アマチュア劇団での演劇のリハーサル中にやってしまった失敗5選

舞台にも人生にも失敗はつきものですが、演劇のリハーサル中にやってしまった失敗は、普段はあまり経験しないものも多いと思います。

ですが、そこからの気づき、学びなど、得られるものは、やはり同じようにあるものです。

私がかつて所属していた劇団は、関西で活動する、女性のみで構成されたミュージカル劇団でした。歌ったり、踊ったり、お芝居したりと、演劇に夢中になって過ごした、正に私の青春時代です。

そんなアマチュア劇団員時代、演劇のリハーサル中にやってしまった失敗を、5つご紹介したいと思います。

足の爪を割ってしまった!

演劇のリハーサル中に、足の爪を割ってしまったという、痛い失敗談です。

舞台が板張りの劇場での事でした。

リハーサル前から、板と板の隙間が少し大きくなっている所があるのには気づいていて、「気をつけなくちゃ」と思っていたのですが、音楽がかかって、踊りだしたら夢中になり、隙間に足を取られてしまいました。

「こけてはいけない!」と、思い切り踏ん張ったその時、右足の小指の先に激痛が走りました。

そのまま踊り通しましたが、靴の中が濡れている感覚があり、楽屋に帰って靴を脱いだら、血だらけになっていました。

小指の爪が縦にパックリと割れていたのです。

そこから本番までに出来る事は、消毒と絆創膏くらいでしたが、舞台本番の日のリハーサルだった為、緊張していたのか、痛みはほとんど感じず、本番でも、足をかばうことなく、気にせず演劇に集中できました。

終演後の靴の中は、水浸しならぬ血浸しでしたが……。

人のバミリの場所に立ってしまった!

演劇のリハーサル中に、他の人が立つべき場所に立ってしまったという失敗談です。

幕をおろさず、舞台を暗くしている間に場面を変えることを、暗転と言いますが、演劇は、その暗転中にスタンバイする事が多いです。

リハーサル前に、暗転中でも自分の立つ場所が分かるように、蓄光テープを舞台に貼って、バミリと呼ばれる目印をつけます。

色んなキャストが、暗転中の自分の印をつけるので、舞台上には沢山のバミリがあります。

自分のバミリ目指して暗闇を進み、パッとスポットライトが当たった時、本来そこにいなければいけない私が、別の場所にいたという事がありました。

違う場面の、他のキャストのバミリの上に立っていたのです。

場内はシーンと静まり返り、私自身も、一瞬何が起こったのか分からない状態になりましたが、すぐに事態を把握し、笑って許してくれる他のキャストやスタッフに平謝りしました。背中に冷や汗を流しながら……。

上手と下手を間違えてしまった!

演劇のリハーサル中に、上手と下手を間違えてしまったという失敗談です。

客席から舞台を観た時に、右側を上手、左側を下手というのですが、これは、右や左では、舞台に立つ人にとっての左右なのか、お客様にとっての左右なのかが、分からなくなるからだと言われています。

つまり、「上手出、下手はけ」と言われたら、お客様から見て右側から登場して、お客様から見て左側に退場したら良いと、すぐに分かるわけです。

そう、とっても分かりやすいはずなのですが、私は、やってしまったのです。

「上手出」なのに、「下手」で出番待ちをしてしまっていて、他のキャストから、「あれ、次、あなたは上手じゃない?」と言われ、顔を真っ赤にして移動しました。

もちろん、下手に行ったら「どこにいたの~?」と皆に心配されていて、さらに恥ずかしくなり、しばらくドキドキがおさまりませんでした。

衣装替えのお手伝いで失敗してしまった!

演劇のリハーサル中に、衣装替えのお手伝いで失敗してしまったというお話です。

私の所属していた劇団は、人数があまり多くなかったので、自分の出番がない時は、早着替えのキャストのお手伝い等をしていました。

袖にはけてくるキャストが次に着る衣装を持って待っていて、はけてきたが早いか、脱がせて着せてと、猛スピードでお手伝いするのです。

そういう衣装には一工夫してあって、例えばボタンのついた衣装だと、ボタンホールの上に、既にボタンは縫い付けてあり、その裏と、本来ボタンがあった方に、マジックテープがついています。

着る時は、袖に腕さえ通してしまえば、後はワンタッチで着れるのです。

初めてお手伝いした時、舞台袖が暗くて、いつもの稽古場のようには見えない中で、不格好に着せてしまった事があります。

まるでボタンをかけ違えたかのように、ずれた状態で着せてしまったのです。

キャストが明るい舞台に出て行ってから気づき、ものすごく反省。飛び出て行って、着せ直したい衝動に駆られました。

かつらを飛ばしてしまった!!

演劇のリハーサル中に、なんとカツラをとばしてしまったという失敗談です。

外国の方の役を演じる時は、堂々と黒髪の外国人を演じるか、自分の髪を染めるか、カツラを着けるかを選択することになります。

漫画が原作の作品の時に、与えられた役のイメージに合わせたカツラを着ける事にしたのですが、ちょっと自分の頭の形とは合わなかったのです。

決して私の頭が大きいからではないと、心から信じたいところです……。

ピンでしっかり止めたつもりでいたのですが、私が所属していたのは、ミュージカル劇団。ダンスだって踊ります。

リハーサル中、とっても気持ち良く踊っていたのですが、ピルエットという回転をした時に、ふいに頭が軽くなり、周りが大爆笑。気が付いたら、カツラを飛ばしてしまっていました。

少し離れた舞台上に落ちているカツラ……。とても空しかったです。

シリアスな作品だったので、コメディーになってはいけないと、本番は、ガチガチに留めて頑張りましたが、しばらくは笑いのネタになり、演劇のリハーサルの話題が出る度に、必ず誰かが笑いながら話しだす出来事となりました。


いかがでしたでしょうか。

普段の生活の中では、あまりしない失敗ですが、演劇経験者の方なら、一度は経験した事がある失敗もあったかもしれません。

痛かったり、冷や汗ものだったり、爆笑ものだったり……。

リハーサルでの失敗は、枚挙にいとまがありませんが、今思うと、そのおかげで、気づきや学びも多かったなぁと思います。

足の爪が割れた事はアクシデントなので、挽回するのは難しいかもしれませんが、処置ができますし、その他の失敗は、演劇のリハーサル中の失敗であれば、本番までに練習して、挽回出来るものでした。

舞台にも人生にも、失敗はつきものですが、大事な本番の前には、しっかり練習とリハーサルをして、失敗しやすいところを確認し、対策をしてから本番を迎えられると良いですね。

(文・たここ)