バレエの発表会で緊張をやわらげる方法!経験者が教える舞台で大切なマインド
バレエを始めたばかりで初めての発表会! 本番で緊張しないか心配していませんか?
私は3歳からバレエを習い、舞台子役としても活動していました。何度本番を経験しても緊張する……ドキドキしない方法を知りたい!という方へ、私が大事にしていた「緊張をやわらげる考え方」を3つご紹介します。そのうえでバレエの発表会で大事にしていたこともお話します。
バレエの発表会・本番直前!舞台袖でやっていたこと3つ
緊張がピークに達するのは、本番直前の舞台袖でスタンバイしているとき。他の出演者に心臓のバクバク音が聞こえていないかしらと心配になるほど。そんな時、私が落ち着くためにいつもしていた考え方は3つあります。
発表会で緊張するのは当たり前だと思うこと
一生懸命お稽古した踊りを大勢の方の前で見ていただく発表会。劇場の規模によって客席の人数は変わりますが、何十人、何百人という方々の前で踊ることになります。
まずは「緊張するのは当たり前!」とその気持ちを受け入れることが大事です。バッチリ舞台メイクをして、お衣装を着て、ライトを浴びて舞台で踊る……。普段のレッスンとはまったく違います。
さらにたくさんのお客様がいるのですから、緊張せずにはいられません。
私はお教室のバレエ発表会だけでなく、地域のバレエ教室が集まって行う合同公演にも出演しました。また、7歳から子役として、サンシャイン劇場、帝劇、芸術座(現・シアタークリエ)などの演劇舞台にも出演していました。舞台に立った回数としては200回を超えると思いますが、やはり本番前は毎回緊張します。「それだけ舞台の経験があれば全然緊張しないんでしょ?」と聞かれたこともありますが、そんなことはありません。舞台に出てしまえば緊張など忘れてしまうのですが、バレエでも演劇でも舞台袖の出番直前が一番緊張します。
でも、「ドキドキして当然なんだから!」とある意味開き直ると、自然と気持ちが落ち着いてくるのです。緊張しているということは、しっかり準備して本気で向き合っているからとも言えます。「どうでもいい舞台だから適当でいいやと思っていたらあまり緊張しないのでは? 舞台への想いがあるからこそ緊張しているんだ!」と、まずは落ち着くことが大切です。
ここまでお稽古してきたのだから絶対大丈夫だと自信を持つこと
緊張するのが当たり前だからと落ち着くことが出来たら、次は「絶対大丈夫!」と思うようにしていました。「今は緊張しているけど、本番が始まれば大丈夫!」と暗示をかけることで、いつも通りの力を発揮できるようになるのです。
「あそこの苦手な振りは何度も練習したし、昨日のゲネプロ(最終通しリハーサルのこと)もうまくできた、本番だからって練習したとおりに楽しんで踊ればいいんだ!」と、自分の都合のいいようにポジティブに思い込んでいきます。
私の経験上、根拠のない強い自信を持って本番に臨む人は失敗しないし、いつもより楽しく踊っているように見えました。発表会では、「自分が主役!」ぐらいの心意気で踊る方が案外うまくいくものです。そう考えると逆に緊張してしまう場合は、次の方法を試してみて下さい。
私だけを見ているお客様はそんなにいないと思うこと
学芸会などで「お客さんをジャガイモと思え!」というアドバイスを聞いたことがありませんか?
人を野菜だと思え、なんてちょっと失礼な気もしますが、これは「人に見られている緊張感」から解放するためのアドバイスだと思います。バレエの発表会では、家族やお友達があなたを見に来てくれます。でもそれを本番前に意識してしまうと、「ちゃんと踊れるところを見せなくちゃ!」とか、「失敗したらどうしよう!」などと力が入りすぎてしまいます。そんな時は「私ではなく、他の人を見に来ている人が大多数なのだ」と思うようにしていました。
300人が入るホールでの発表会だとして、自分の家族や友人が5人来ていたら5/300。60人に1人の割合でしか自分の踊りを見ていない計算です。もちろん、実際そんなわけないのは分かっているのです。バレエは芸術。たった一人の踊りだけを見るものではなく、舞台全体が作品です。そして、発表会はお客様に自分の踊りを見ていただくものです。「自分は見られていないと思う」ことは、来ていただいたお客様に失礼あたるかもしれません。でも、そう考えることで緊張がほぐれ本番を楽しむことが出来るのなら、一つの作戦になりえると思いませんか?
本番前は「私を見ている人なんて少ないのだから」と思っていても、いざ舞台の上に立つと「もっと私の踊りを見て!」という気持ちになるかもしれませんよ。
発表会で大事にしたいマインド
ここまで、バレエの発表会で緊張をやわらげる方法を3つ紹介しました。舞台袖で静かに一人で出来る方法なので、本番前に試してみて下さいね。緊張をほぐすことは大事ですが、私が発表会で一番大事にしていたことは、他にあります。
それは、「本番を楽しむこと」でした。
本番を楽しむって?
私にはバレエの発表会本番で失敗した経験が何度もあります。うまくいかなかったとしても、バレエの先生が「練習が少なかったから失敗した」と私を責めたりすることはありませんでした。また、私の母はピアノ教室を主宰していて、毎年発表会を開催しています。母はいつも、「発表会はピアノがうまく弾けることが目的ではないの。練習の成果を見てもらうことと、本人がピアノって楽しい、もっと頑張ろうと思える機会を作ることが目的。」と言っています。バレエの発表会も同じだと思います。
一生懸命練習した結果をお客様に見ていただき、自分の成長を可視化すること、そしてバレエの楽しさを知る事が大切なのではないでしょうか。緊張しないために「自分を見ている人は少ないと思おう」とも書きましたが、それは一時のマインドコントロールのようなもの。来ていただいたお客様への感謝の気持ちと、自分が本番を楽しむことを大切にしていました。
満足する踊りが出来なかったら?
発表会で失敗したらどうしよう、練習したのに間違えたらどうしようという不安から、緊張しすぎてしまうというケースもあると思います。
そもそも私は、自分が満足する踊りというのは一生できないと思っています。子役時代、お芝居の先生に今回はここがダメでしたという反省点をお話していたときのこと。「自分が満足する演技なんて一生できないと思いなさい」と言われたことがあります。バレエも同じだなと思ったのです。
ある俳優さんがインタビューで、「自分の作品を見て反省点がなくなったら辞め時だと思っている」とお話されていました。芸術は、常に上を目指すもの。失敗をおそれすぎずに、今の自分を力を最大限出し切り失敗は次に生かそうと思うことで、舞台を楽しめるのではないかなと思います。だからといってお稽古をサボったり、適当に本番を迎えていいわけではありません。やはりそこは舞台でお客様に見ていただく以上、自分の出来る限りのことはしたいですね!
まとめ
バレエの発表会で緊張を和らげる方法と、発表会で大事にしたいマインドをお伝えしました。
参考になったら嬉しいです。皆さんが、楽しいバレエライフを過ごせますように!
(文・宇野あゆみ)